アイアンマンケアンズ2016 レースレポート「浅野 歩」
6月12日 午前8時スタート
ビーチから出て反時計回りに2周回するコース。当日の天気は曇り時々雨、波の高さが腿くらいまであり、うねりも頻繁に入っていて、サーフィンもできそうな、ハードなコンディション。自己申告によるタイム別のローリングスタートで、わたしは1時間7分から20分のタイムゾーンから出発しました。
ビーチから走って入水し、最初のブイを目指して泳ぐも、波が高くてなかなか進みません。最初のブイを超えてからはビーチ沿いに泳ぐので、少し進みやすくなりますが、波が高くてブイが見づらい上に、流れが強くて、何度も大きくコースアウトをしました。ブイを目指すも、岸側に流されて沖側になかなか戻れず、何度もタイムロスをしました。2周回が終わり、スイムゴールゲートを目指して直進で泳ぐも、波が崩れるのと同時にフラフラして転倒しました。波とうねりに酔っていたのかもしれません。
スイムでヘロヘロになっていたのでまずは心身を落ち着けようと、練習でのアップのような感じで漕ぎ始めました。ここで、グリコパワープロダクションのおいしいアミノ酸BCAA/ワンセコンド ライチ味をCCDと摂りました。次第に回復してきたので、徐々にペースアップ。スイムの苦手なわたしは遅れを取り返そうと、先方の選手を順調に抜いていきました。アップダウンのあるところでも、平地でも、向かい風でも横風でも、いつもよりもずっと楽に走れるな、と感じました。
補給食にはグリコパワープロダクションのワンセコンドシリーズクリアレモン味を摂りました。車体がFELT IA FRDになったこと、カーボンドライジャパンのビッグプーリーとゴキソホイールを付けたことが功を奏したのだな、と思いながら、その好調を楽しみました。80km地点くらいまでは調子が良く、このままいければいいのに、と祈るような気持ちでした。それというのも、ここ最近は毎回バイクパートの時にひどい腹痛に襲われるからです。
前回のアイアンマンマレーシアでは、その痛みと下痢と嘔吐のために、DNFしてしまいした。今回は90km地点までは痛みなくいられたのですが、ついにそれがまた襲ってきました。110km地点のエイドステーションに着く頃には息も絶え絶え、ゆっくり漕ぐことすらできないくらいの腹痛がありました。エイドステーションのメディカルサービスにお世話になり、手当を受けました。昨年同様やめてしまうのか、なかなか痛みが引かず迷いましたが、「アイアンマンになりたい!」という思いが強く、走り続けることを選びました。
1時間ほど横になっていましたが腹痛が引かず、自転車に乗り始めても、時速15kmほどでしか漕げなかったため、この先の70kmにいつもの何倍の時間がかかるんだろう…と気が遠くなりました。しかし、通る自動車がみんなハザードを焚いてくれ、それが励ましのサインだと気付いた瞬間、嬉しいやら、情けないやらで、いろんな感情が入り混じり、涙がポロポロとこぼれました。そのおかげか、我慢に我慢を重ね、ゆっくりですがT2にたどり着きました。もうランニングを始めているたくさんの人たちを横目に見ながら、バイクゴールしました。
腹痛が起きてからは補給食をほぼ食べられなかったため、ランニングのためのエネルギーは体内にありませんでした。トランジションではグリコパワープロダクションのライチ味とおいしいアミノ酸BCAAをまた摂りました。腹痛がどうなるかわからなくて、最初はゆっくりキロ6分くらいのペースで走り始めました。次第に調子が戻ってきて、キロ5分ちょっとで走り続けましたが、やはり腹痛と下痢、嘔吐が襲ってきました。
エイドステーション毎にトイレに駆け込み、苦しみました。
しかし、次第にランニングシューズのonクラウドレーサーに助けられ、いつも練習で走るようにリズムに乗って走れるようになってきました。残り10km地点では、「あと10km。お願いだから、このテンションのままいかせてください。」と祈りました。その後は観客や仲間の応援に背中を押され、気持ち良く最後まで走ることができました。ゴールに駆け込んだ時はこれ以上なく気持ちが高揚して、笑顔になるのを止められませんでした。ゲートをくぐり、また今年もアイアンマンになれたのだな、と安心して、フィニッシュゲートにお辞儀をしました。
毎年襲ってくる腹痛をなんとかしようと、断酒したり、胃腸薬を飲んだり、練習でも同じ補給食を食べたりと、試行錯誤してきました。強い身体を作ろうと、バランスを考えて食事も作ってきました。それでもまた今回も苦しまされることになったので、トラウマになりつつあります。これを克服して、いつも通りの走りをしたい。かみ合ったレースを実現させたい。そんな思いでいます。
タイム的には、練習の成果が発揮できず、本当に悔しい結果になりました。しかし、困難を乗り越えてフィニッシュゲートを目指す、というアイアンマンならではの精神を改めて持つことができたことは、収穫だと思います。また新たな目標に向けて、一歩一歩進んで、ひとつひとつ積み上げていきたいと思います。
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